初めて見たときは、話の筋が分からない部分があったが、ラッセル・クロウら主演陣の 演技の上手さと、作品が醸し出すハード・ボイルドな５０年代の雰囲気にしたたかに酔わされた。 　きっと英語でセリフが聞き取れれば、日本語字幕や吹き替えでは伝わらないこの作品の エッセンスにもっとどっぷりと漬かれるんだろうな、と、残念でならない。もっともこれは この作品に限らないけど。

　この作品は再鑑賞,再々鑑賞と重ねるごとに旨みを増すスルメ映画だと思う。 　主人公達の人間関係やセリフ回し、５０年代のセットのデティールなど、うなるほど良く出来ている。 　ストーリーも複雑で、数度見ることを前提にして書いてるんじゃないかと思うほどだ。 本来、１回目の鑑賞で話しが理解しにくい、というのは映画として致命的な事かもしれない。 　しかし、数度鑑賞してもその都度、鑑賞者に新たなカタルシスや発見を与えてくれるという点に おいて、この作品は非常に優れたエンターティメント作品だと言えるだろう（カットしまくりの ＴＶ版はいただけませんが）。