コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] M★A★S★H(1970/米)

ベトナム反戦運動が盛んに行われると同時に、ニューシネマが認知されていたとはいえ、まだまだ大手映画会社=保守であったあの時代にこんな映画が作られたという歴史的価値は十分に理解できる。
ナム太郎

たとえば本作のセリフはアルトマン監督の指示により基本的に役者のアドリブによって構成されていて、一説によると本作は、初めて四文字言葉(F★CK!)が発せられた映画でもあるらしい。それを知った脚本家のリング・ラードナーJr.は当然のことながら激怒したとのことだが、皮肉にもその年のアカデミー脚色賞が本作により彼に与えられたというのは楽しいエピソードだ。そんな本作に対する本国の観客たちの熱狂ぶりも分からなくはない。

しかし、そんな歴史的価値は十分に理解しつつも、本作の映画としての出来自体が現代にも通じるものであるかというと、正直首を傾けざるを得ないのも正直な思いなのである。

もうすでに多くの方が述べられてはいるが、たとえばズームレンズの多用による撮影についても、役者がカメラを意識せず、ドキュメンタリー色が強まるという利点はよくわかるのだが、それ以上にカメラが主張し過ぎて画が落ち着きないことこの上ないし、登場人物が突拍子もない行動を起こしていることも観客として頭では理解できるのだが、それは目の前の画を通じて直接的に視覚に訴えてくるものではない。

そのあたりは、残念ながら本作において決定的に不満を抱く点である。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] 緑雨[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。