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[コメント] シティ・オブ・エンジェル(1998/米=独)

「ベルリン・天使の詩」のリメイクとはいえない。 
もっこす

**ネタバレ注意**
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(ネタバレ注意!)

それにしても酷評が多いね。 やはり、この作品にそぐわない予告を流したプロモーションに問題があったのかな。 たしかに哀しい結末なんだけど、あえて不満は無い。 映像・音楽は秀逸。 ユーモアのツボもちゃんとふまえてあって、セスのセリフのズレ具合が、そこはかとなく可笑しい。       オリジナルの「ベルリン・天使の詩」(ヴェンダース)と比べて批判している評をよくみかけるけど、この作品が描こうとしているのは「ベルリン・天使の詩」とは違っている。

マギーに惹かれて天使の座を降りたセスは“生きて感じること”の素晴らしさを識る。    人肌のぬくもり… 風の抵抗感… 洋梨の歯ざわり… 皮膚の蒸発感覚…    それらが本来いかに素晴らしいことであるかを日常性に磨耗した人間の感性は享受できない。  (しかし人間になりたての天使だったらできるかも…)     そうした日常性の繋縛を超えようとしたのがヘミングウェイの世界。     (天使だった時、セスはマギーに洋梨の食感を言葉で表現させようとする ――「ヘミングウェイのように」と。)     この作品は、オリジナル(「ベルリン〜」)よりもヘミングウェイを志向している。

マギーのセスへの“贈りもの” ―― 生きて感じること ―― その素晴らしさを全身で感じたセスの笑顔を最後に、暗転。 亡きプロデューサー、Dawnへの献辞と続く…

(評価:★5)

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