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[コメント] トゥルーマン・ショー(1998/米)

最後まで観終えて気づいたこと。これは、『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』の原型であり、もっと痛切なカタチなのだということ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







トゥルーマンには「心を許せる」家族はいない。外へと旅立とうにも彼はこの町の匂いしか知らない。靴の匂いを嗅いでみたところで、このエド・ハリスというプロデューサーに作り出された町の馴染みの匂いしかしないのだ。

彼は偶然愛した女をよすがに、この「夕焼けの町」からの脱出を試みる。彼の後ろには彼を見守る全世界の人々がおり、彼らにとってのトゥルーマンは『ルーシー・ショー』の登場人物のようなもので、作品世界からの逃亡などは思ってもみないことである筈だ…視聴者とは保守的なものであるから。だが、トゥルーマンの幸福は全世界がその逃亡劇を応援してくれたことだ。明日からは「トゥルーマン・ショー」は終わり、人々は彼の存在を顧みることもしなくなるだろう。それは別にいい。ひとりの男は皆を安心させるために存在しているのではない。そんなコトは別の誰かがいくらでもやってくれる。「フツーの男」になることのできた彼に、幸あれ。外の「匂い」が彼にとってここちよいものであるかは判らないけれど。

(評価:★3)

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