[コメント] さらば青春の光(1979/英)
痛い青春映画としてよくできている。撮影も悪くない。夜の濡れた路面やフィル・ダニエルズの家の照明の暗さ。モブ演出も及第点。また頻出するダンスシーンにまったく幸福感が表出していないことも特記すべきだろう。そこにあるのは浮かれた熱気と、それを傍から見たときの薄ら寒さだけなのだ。これが狙ったものだとしたら、偉い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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モッズの風俗的な部分に関しては、私はどうでもよい。なぜモッズのダニエルズは、キンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」は好きなのにジーン・ヴィンセントの「ビー・バップ・ア・ルーラ」は許せないのか、後世の単なるロックンロール好きとしては理解に苦しむところだ。結局のところ、音楽やファッションの趣味の違いのためにモッズとロッカーズは対立したのではなく、対立し互いに排斥しあうために音楽やファッションが利用されたに過ぎない。少なくともこの映画ではそのように描かれている。その意味でも、これはモッズというものに限らず、普遍的な「若者」の愚かしさや切迫感(つまり、痛い青春)に言及した映画と見るべきだろう。
家族、職、仲間、ガールフレンド、スクーター、憧れの人(スティング)、といった主人公を支えていたものがことごとく怒涛のように奪われていく終盤の展開も徹底していてよい。
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