平成ガメラに感動したのは「徹底的リアル路線」にあったはずだ。

何でもない日常の空間に突如怪獣が現れることの驚きと恐怖と少しばかりの可笑しさと。

これをとことん手を抜かずに描いてくれたのが平成ガメラだった。

しかし本作は序盤まではそのテイスト残しつつも，やがてオカルティックな要素がどんどん幅を利かせてダメになってしまった。

渋谷壊滅以降のお話はどんどん胡散臭くなっていく。

土着信仰引っ張り出した上に，ナンですか，あの新キャラクターの方たちは？？　

例のオタクキャラはもちろんだが山咲千里にほんとに巫女の格好させてどうするの…。

南方の島でのエピソード→ガメラのギャオス追撃→渋谷蹂躙と容赦なく巻き込まれる人々。

ここまでの描写の迫力と鬼神の如きガメラ演出はパーフェクトなだけに本当にもったいない。

とにかくあとはどんよりジメジメ暑苦しい展開に終始する。

浅黄「こういう話，嫌いですか？」。僕は嫌いです。

ついでにクライマックスのイリスとの対決。特撮史上初の怪獣屋内バトルは，もはや近接ニラメッコである。

本作でシリーズはひとまず決着なのか。だとしたら悲しすぎる。