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[コメント] フェアリーテイル(1997/英)

「ごっこ」が生むファンタジー
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







無粋な話、ネタはあがっている。家に忍び込んだ記者は、トリックの種を発見してしまった。妖精騒ぎは子供たちの「ごっこ」だった。だから、これは凄い映画なのだ。

インチキという泥の中にも美しい花が咲く。子供の心は「ごっこ」を現実化する。あなたも小学校からの帰り道、「道路の白線踏み外したらオレ爆死」とか決めて歩いてドキドキしたりしたでしょ。しなかったですか。そうですか。あの2人には「実際に」妖精が見えていたし、それは彼女たちにとっては現実そのものだ。彼女たちは自覚的にウソをついてるわけではない。ウソだなんて、ちっとも思っていない。信ずれば妖精はそこにいるのだ。少女たちの思いはホントに現実となって、大人の社会を巻き込んだ騒動になる。

子供たちの心を知る男がハーベイ・カイテル演じるフーディーニで、だから彼は妖精の存在を否定しない。彼は幻想と子供たちを愛する。この映画に出てくる本当の「大人」は彼ひとりだ。

映画のラスト、待ち続けた父親が帰ってくる。夢が叶ったフランシスには、もう妖精は見えない。でも、それでいいんだ。お父さんが帰ってくることは、妖精と会うよりも素敵なことなんだから。反対にエルシーの両親は、妖精を目撃する。フランシスの父親の帰還という奇跡を目撃して、とうとう夢を本気で信じることが出来たからだ。

「大人になるって、自分よりも人の気持ちを思うことなのね」 これは凄い台詞だったな。忘れられない映画になった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)tredair[*] NAMIhichi ミュージカラー★梨音令嬢[*] ルッコラ

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