[コメント] アラモ(1960/米)
この映画は決して悪くない。冗長な部分もあるけれど、充分に興味を持続することのできる娯楽映画だ。ポリティカルな観点での批判ばかりが多く、「映画」として正当な評価を受けていないと思う。ジョン・フォードがどこまで貢献しているか判らないが、画面造型やカッティングもよくやっている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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劇中でデイビー・クロケットが「こう見えても頭は悪くないんだ」というような科白を吐くシーンがあるけれど、その通り、ジョン・ウェインの演出は立派なもんだ。リチャード・ウィドマークとローレンス・ハーヴェイそれぞれのキャラクタリゼーションも一貫かつ徹底しているし、活劇としてのヒロイズムに溢れている。もっとも二人の確執の落とし前をきちんと描かない物足りなさはあるけれど。また、チル・ウィルスやハンク・ウォーデン、ケン・カーチスといった脇役達も存在感を発揮する見せ場が用意されており良い仕事振りを残している。
この映画がある種の独善的なアメリカ賛歌であることは間違いないのだが、前半、クロケットとボウイが初めて出会った夜に二人して飲み明かすシーンでは、熱烈なメキシコへの憧憬が描かれてもいるのだ。ジョン・ウェインは女性の趣味が南方志向(最初の妻はパナマ人、二番目がメキシコ人、三番目はペルー人)だったので、そのことが影響しているのも確かだと思うが、このメキシコへの愛を語るシーンはサム・ペキンパー等1960年代以降に台頭する西部劇作家への精神的継承を思わせる部分であり、この映画を愛国者ウェインという偏見だけで語ってはいけないと感じさせる部分でもある。
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