[コメント] さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅(1981/日)
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大好評を博した『銀河鉄道999』(1979)の正式な続編。
「今、万感の思いを込めて汽笛が鳴る…」で自分自身の中では既に終わった物語。だから続編作るのは否定的な思いが強かった。これじゃ『宇宙戦艦ヤマト』になっちゃうよ。
それでもやっぱり自分の中では『銀河鉄道999』の思い出が強く、実はこれを観る時は未だにその余韻を引きずっていたのだが、予想に反する冒頭の怒濤の展開に余韻などあっという間に消え去った。
あの終わり方をさせておいて、よくここまで物語を暗くさせることができたもんだ。はっきり言って、前半はショックの連続。ヒーローとして凱旋したと思った鉄郎が何故死ぬかもしれない一兵士として戦ってないといけないの?とか、もう来ないと言ってた999がなんで地球に来てる?メーテルは本当の体を手に入れたんじゃ?それにメーテルの態度があんまりにも…
様々な思いが怒濤のようにやってくる…いや、むしろ、私がこんなに『銀河鉄道999』を好きだったのか?と逆に新鮮な思いになった訳なんだが。
しかし、そのショックが収まってしまうと、後半に至るまで、“いかにも”な展開が続く。どう考えたって無理のある設定や、新キャラに押されて旧来のキャラの魅力を引き出すことが出来なかった上に、新キャラの魅力も今ひとつ。何よりストーリーが暗すぎるなど、はっきり言って本作を単体で観るならば、さほど出来の良い作品とは言えない(と、今になって思う)。
だがしかし、本作は続編として観るならば、ぴったりと収まった作品には違いない。 一作目にはまった人間に対して冒頭でショックを与え、メーテルの憂い顔を見せ、意外な人物の登場まで演出してみせる。一作目あってこそ出来る芸当をきちんと踏まえていたのは事実。
それに、どんなに暗くても、きちんと魅せるべき場所を外してなかったのが良かった。冒頭、封印したコスモドラグーンとマントを掘り出した鉄郎の姿。来ないはずの999がホームに待っていた時の高揚感。線路がボロボロに崩れ、もう地球には戻ってこれない。という寂しさ。そして何より前回よりも遥かに愁いが増したメーテルの姿。この辺は本当によく分かっていらっしゃる!という感じ。それにやっぱり、最後のナレーションは、それがたとえ焼き直しと分かっていても、やっぱりジンっと来てしまう。
「今一度、万感の想いを込めて汽笛が鳴る。今一度、万感の想いを込めて汽車が行く」。これほどツボを押さえたナレーションはないだろう。実はこのナレーションは、一作目よりもかえって感動できたくらいだ。
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