[コメント] シャイン(1996/豪)
この映画を観ていると、精神を病むのは、自分に苦痛をもたらす世界から逃れるための苦肉の策だということが伝わってくる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あまりにも生きづらいと、本人さえ思いがけない逃げ方をすることが時としてあるようだ。
最初の方で、デヴィッドの父親が自分の子どものころの話をする。お金を貯めてバイオリンを買ったがおやじに叩き壊されたと。結果的には自分もそれと同じことを子どもにしてしまうのは皮肉だが、父親は父親で、どうしても譲れない感情があったのだろう。「強制収容所で家族を失った」とかいうセリフがあることから、彼が何故それほど家族にこだわるのかが分かるし、デヴィッドが家を出れば自分の家族は崩壊するという強迫観念にとらわれているのも、そうした事情のせいかもしれない。こうした、デヴィッドと父親との確執は作品にとって重要な要素だが、寡黙な母親が最後、リサイタルのところで見せた表情も印象に残った。
前半は少し暗いのだが、デヴィッドにはまるで父親がわりのように手助けをしてくれる人物が必ず現われるので、悲愴にはならない。また、まわりにとりまく人々も温かく、不自然なところがないし、何より本人が自分の生き方を確立しているので観賞後の後味はさわやかだった。
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