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[コメント] アイズ ワイド シャット(1999/米)

一見安い映画に見せておいてその実深い意味が隠されている、と 思わせといてやっぱ安い映画?
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







*2001年宇宙の旅のネタバレもあり

作品にはちょっとしたボーダーラインがあると思うんだな。

「うまく言えないけどなんかザワザワっときた」とか「初恋の時の胸の苦しみを思い出した」のような 具体的な感想が出てこない、か、そうでないかの境界。

キューブリックは理論尽くめの人ではあったけどその反動として理屈では表現できない作品を 常に作ろうとしていたように感じる。従来の作品群をパッと見て思うのは どれも結論が理論的じゃなくて「あっ!」と驚く結末ってところなんだな。 だからこそ彼のボーダーライン超えの作品は面白かったし、ネームバリューだけで見たくなる 数少ない人だった。

で、この作品だ。普通に見れば何やら安直に感じないか?おかしいな、そんなはずは無いんだが…。

そこでタイトル(視界を広げてそして心で感じよ、と解釈)から意味を探ると 「広い世界(宇宙や未来含む)を考えに考え抜いて無の境地に入ろうとした私(キューブリック)でしたが結論が出ました。皆さん何も考えずにやりまくりましょう!繁殖ですよ繁殖(鶴太郎?)」、って事になる…。しかしそうなると今まで監督が作ってきた

-どれも結論が理論的じゃない「あっ!」というエンディングのボーダーライン越え-

という基本ルールに引っかかるんだよな、俺的には。だって全然 「あっ!」じゃないし。むしろ「ぇ」だし。

と言うことでこれはきっと見終わって「あっ!」と驚く事に気が付いてないんじゃないか、俺?と 解釈することにした。で、そういう視点で考えてみた

・・・わかった。

実はね、奥さんがジグラーシドニー・ポラックと企んだ 旦那を尻に敷く為にやった大規模な芝居なんじゃないか?

冒頭部分で「この髪型どう?」に対して「素敵だよ」と 鏡で自分の髪型確認しながらの旦那、「見もしないで」と返す奥さんから推測するにこの二人は以前から恋人としての危機を迎えているのだ。夫婦としては 安泰でも。

そこで奥さん、パーティー会場(旦那の知り合い一人もなし。つまりエキストラ)で旦那の旧友のピアノニストを手配しさりげなくお面パーティーに行きたくなるように仕向け(暗号まで何気に教える) 身代わりのモデルが死んだとか(実は仮面パーティー会場のモデルとは 別人)売春婦に街で声をかけさせ後でHIV感染だったとびびらせたり。 (ピアニストも売春婦もモデルもいずれも姿を再び表さない) 旦那が帰ってきたら悪夢を見た、と仮面パーティーそのままの話をしたりお面を横に置いといたりとにかく精神的に追い詰める。

お面パーティーの次の日、旦那の視点で子供に勉強を教える彼女をジーと見るシーン(段々ズームしていく)がある。 これだけでも変だが最後にチラとこちらに鋭い視線を見せニコっと 笑う。これってHAL9000の重要なシーンにも使われている手法なので 意味は同じだと思うんだな。やっぱ奥さん怪しすぎだって!

だから最後の奥さんのセリフが冒頭のシーンからの結論として 活きてくるわけだ。

で、これが「あっ!」というエンディングのボーダーライン越えになるのかって?

…ならんような。だから安い映画?って書いたんだけど

(評価:★3)

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