[コメント] アイズ ワイド シャット(1999/米)
トム・クルーズとニコール・キッドマン夫妻(当時)が共演した話題作であるが、周りの評判は余り良くないように思う。本作がキューブリックの遺作となった訳だが、それをも残念がる声も聞こえてくる。しかし、本作はキューブリックを理解する上で、最も重要な位置を占めている作品ではなかろうか。
本作のテーマは「人間」ではなかろうか。 更に追求するならば人間の「欲望」・「本能」がテーマと個人的には解釈している。
そしてそのテーマを追求するにあたり、人間が最も理性を失う可能性を秘めている「性」という手段を用いテーマを追求しようというのだから、キューブリックらしい。欲望を満たすためには、禁じられたことにも踏み込んでしまう。自らの危険をも顧みない。人間は理性を備えている動物であるが、欲望を満たすためには理性をも失うのである。
演技に関して。クルーズの演技が大分酷評されているように感じるが、私には「丁度良く」演じているように思う。決して、のびのびと演じているわけではないし、ぎこちなさも漂っていたが、落ち着いてキューブリックの演出、そして本作においての自分の居場所をよくよく理解した上での演技と解釈しています。一歩間違えれば作品の前面に出てしまうクルーズだが、本作でのクルーズはなかなかの上出来。ただ、演技賞にひっかかる演技ではありませんし、彼の生涯のベスト3に入る演技でもありません。キッドマンも生き生きと演じられていないが、大健闘でしょう。トッド・フィールドやアラン・カミングも助演として光っていた。(何故か私にはトッド・フィールドがショーン・ペンに見えてしょうがなかった…)
オープニングでショスタコーヴィッチの通称「セカンド・ワルツ」が効果的に使われており、相変わらずのセンスの良さが窺える。
我々人間の本質を見つめているので、何度見ても飽きない傑作へと仕上がっています。
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