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[コメント] 8 1/2(1963/伊)

唯一無二。
ナム太郎

ウディ・アレン等、フェリーニに影響を受けたという作家は数あれど、彼の作品を直接的に想起させる映画に出会うことはほぼ皆無という事実に、映画作家としての彼の唯一無二の独創性なり存在感なりが示されているように思う。

というより何より、彼の映画が好きな人が何かの間違いで映画など撮ってしまったとしても、それは著しく自己が投影された作品になってしまっていて、そういう意味ではある意味フェリーニなのだけれど、そこから直接的に彼を想起するのは非常に困難なことになってしまうのだろうなとかも思ってしまう。

特にこの『81/2』以降の彼の映画にはそういう空気を感じる。そういう意味でこの作品は、彼の転機と、ある種の到達を示す作品であると言えるとも思うのだが、その転機と到達には、アントニオーニのカメラマンとして名を成したヴェナンツォや、盟友ニーノ・ロータの活躍も忘れずに記されなければならないだろう。

この際、分かる、分からないなどは関係ない。ただ、あのラストの大団円の際に不思議と流れ出た自分の涙と、アヌーク・エーメのあの信じがたい美しさだけを信じたい。ただそれだけである。

(評価:★5)

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