[コメント] クレイマー、クレイマー(1979/米)
もうファーストカットからネストール・アルメンドロスの美しい光りの扱いに陶然となる。このメリル・ストリープのアップカットはおでこより上を画面に入れないレベルの寄りのカットで、当時のASC(アメリカ撮影監督協会)の撮影者ならまずやらない構図だろう。
ただ全体に画面造型はアルメンドロスにまかせっきりに見える。ロバート・ベントンは役者のディレクションにのみ注力したといった感覚を持つ。そういう意味で私は映画監督の仕事として物足りなさを感じる。
2度あるフレンチトーストを作るシーンやラスト近くの動物園で子供と対話する場面が印象に残るのだが、最も良いと思ったのは裁判シーンだ。視線と表情の演出で登場人物と観客の気持ちを操るやり口がクレバーで大いに納得する。ストリープが裁判所内のエレベータ前で謝るところやジェーン・アレクサンダーが裁判官に制されても言い切るところもいい。
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