[コメント] 黒い家(1999/日)
森田監督がよく描写する「人間が持つ悪意」を強烈に浮き立たせた作品。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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貴志祐介の原作は、モラルが欠如した人間によって食い物にされる保険会社の実態をリアルに描写した作品でしたが、こちらの映画化された作品はそれにはあまり触れず、人間が心の中に持っている不気味さを、じっとりと画面に浮き出させたものになっています。
何者かに怯えているような素振りの若槻。不格好な泳ぎ方や必死に息継ぎする姿は、閉塞した世界に閉じこめられ、得体の知れない怪物に追いかけられているようです。まるで神経症のように体を震わせ続ける菰田。大絶叫して怪物に変身する幸子等々。森田監督がよく表現する、人間のおかしな部分を誇張したような人物が次から次へと登場し、何ともいえない不快感を煽り立てます。
最終的に若槻と壮絶な戦いを繰り広げ、肉切り包丁を持って暴れ回る幸子の姿は、大竹しのぶの大熱演も相まってとても普通の女性には見えません。「乳、しゃぶれー!!」といって若槻におっぱいを吸わせ、「へたくそー!!」と絶叫してぶん殴る描写は理解不能です。というか、この人は人間ではありませんね。菰田幸子は原作のスタンスと同じく、人間の持っている不気味さや悪意を結集させた、いわば「悪意のシンボル」のような存在だと思います。
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