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[コメント] 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942/伊)

一言で言ってしまえば昼メロの世界ですが、キャラクターや舞台設定など随分原作に手を入れているし、暗喩も数多く出てくるので、そういうのが好きな人にはたまらない作品です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作の主人公ジーノは表題と異なり、彼を郵便配達ではなく浮浪者としただが、これがより「自由」を強調させているようだ。だからこそ、単なる金や愛によってもつなぎ止められない自分の心と、それでも愛さずにはいられない矛盾が現れる。一方のジョバンナは金のために年の離れた夫と結婚し(彼女はこれを自分の生まれが貧しかったからだと説明する)、そして金を使える今の生活に満足しようとしてしきれていない。

 そういう舞台設定があり、そこでストーリー上の暗喩が活かされる。盛りのついた猫を撃ち殺す夫は明らかに妻であるジョバンナへの警告を示しているし、そこから逃げ出したジーノが出会うのが旅芸人。彼も又浮浪者同様自由の象徴だが、浮浪者が関わるのは金。対して芸人が関わるのは愛。面白い組み合わせだ。ミラノで娼婦と関わるジーノが食べていたのがジェラートと言うのも面白い。これらは全て記憶で書いているのでほんの一部だが、まだまだあったはず。

 映画の見方は人それぞれであることは承知。ただ敢えてこの映画の見方をアドバイスするなら、「金」と「愛」、そしてそれに対比としての「自由」と言うキーワードで考えてみると面白い。画面の端々で登場する暗喩も全てそれらのキー・ワードに括れるので、そう言う観点で見てみると面白いと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] JPS ルッコラ

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