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[コメント] 血と砂(1965/日)

その明るさが時に哀しく時に壮絶に響く主題曲「聖者の行進」、中盤で演奏されるBLUENOTE入りの唱歌などに痺れまくり。JAZZとかBLUESと呼ばれるもの本質をこれ程正確に捉えた日本映画は他に無いだろう。伊藤雄之助の葬儀屋(童貞?)や団令子のノーメイク演技も必見。
町田

筒井康隆の短編の如き荒唐無稽な戦記映画だが三船に付き従う新兵たちに比較的無名の新人たちを当てることによって映画的リアリティ*が生み出されている。東宝出身の映画監督の中では真っ先にATG前衛映画に参加した岡本喜八の面目躍如、といったところだろう。

*・・・序盤、団を見て勃起する新兵たちを見て三船が「若いんだナァ、本当に若いんだナァ」と呟くが、観客はこの台詞一言で三船が演じたキャラクターの性質、心情に共感し、若者たちを取り巻く死の臭いをより身近により切実に感じるようになる。

それにしても音楽である。20世紀アメリカ文化の最高傑作でもある、底抜けに明るい、ディキシーランドジャズが元来は葬送曲であった事実を、知識としてではなく、実感として味あわせてくれる貴重な音楽映画だ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] 水那岐[*]

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