[コメント] 遊星からの物体X(1982/米)
「シャーレ」の中で、『THE THING』は目の前に。
この映画に登場する様々な「THING」はいつ見てもどう見ても最高だ。ありもしないものをカメラの前にまざまざと晒す、その実在感、手触り、臭い。CG全盛の世になって、『遊星からの物体X』の価値は更に高まったと思うのだ。如何様にも「いじれる」CGでは、この即物的な「ミもフタもなさ」は表現できまいと思えるからだ。
「シャーレ」はガラス製の平皿で、誰もが知る有名な科学実験器具だ。血液に熱した銅線をくっつける検査という、見ようによってはコントみたいな場面に登場する。この場面、「シャーレ」という小道具が実に利いているのだ。
我々観客は義務教育の中で、「シャーレの中で起こることは科学的事実である」という刷り込みをすでに受けているのである。ゆえにシャーレの持つ説得力は凄まじい。おっさんたちが視線を交わし、熱した銅線でジュッ。これだけのことなのに、緊張で手に汗を握る名場面となっている。
映画史上、『美女と液体人間』に次いでシャーレを効果的に使った映画だと思う。
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