[コメント] 海の上のピアニスト(1998/伊)
自分の船
ずっと船に乗っている。船に乗ったのは小学生の時。それ以来、僕は一回も船を下りてない。僕の今の職業は小学生の卒業文集に書いたそれだ。おそらく、死ぬまで一緒だろう。
よく「人生の選択」なんて言葉を使うが、そういう意味では僕は小学生の時にそれを終えた。選択とは、数ある中から一つを選びとる事。それは逆に言うと、一つ以外は捨てるという事。小学生の時の僕にはそれが分かっていなかったのかもしれないが、とにかく僕はその時“覚悟”した。「人生の選択」なんて、無邪気なもんでいいのかもしれない。
限りある世界は限られた世界じゃない。世界は無限に広がってるけど人生は無限じゃない。当り前の事なのに、次々に入ってくる情報に、誰もが目移りし選択できずにいる。選択した事によって「限られた世界」になってしまうんではないか……自由が無くなるんじゃないか……と怖がっている。でも、それこそ不自由ではないだろうか。情報はフワフワと掴み所がなく、足場にはなりえない。
世界は大勢の人が共有している。でも自分が見られる世界はやっぱり1つ。限りある世界を、選択する事。それは牢獄の様に何の自由もない限られた世界じゃない。広げる自由を捨てた時、はじめて深める自由を得る。
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