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[コメント] シュリ(1999/韓国)

ためらいのない筆力が見どころ。「そんなバカな」を通り越して思わず入れ込んでしまいました。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私の知っている限りで言うと、韓国人は日本人に比べるとずっと自尊感情が高いように思う。日本人が38度線のような国境で分け隔てられたとしたら、おそらく向かいの国と自分たちの国を、等しく同じ立場に見ようとするのではないだろうか? もし、統一するなら相手と自分たちの主義信条を折衷しようとするのではないか? 韓国人はそこが違う。あくまで自分たちが正しい(まあ客観的に見てもそう言えると思うが)。

冒頭、北の工作員が、訓練で敵(韓国兵)をなぶり殺しにするシーンでのけぞる。日本人なら同胞をああまで非道にかけないと思う。もし両国が統一するとしたら、それは全面的に北朝鮮が韓国のあり方に従う以外にない。それまでは相手を絶対許さない。しかし彼らが非を認めれば、何事もなかったように旧知の仲間のごとく受け入れるのだろう。おそらくそういう感覚が、緊迫した政治状況にあって、このようなエンターティメントとして作れるのだと思う。日本人には無理。どうしたってもっとメソメソしたものになっていくだろう。

女スパイの正体って、それだけはないだろうと思っていたようになってしまった。恋人を抱いていれば、筋肉質な体に不審を感じないはずがないだろう。女スナイパーを追って熱帯魚屋の前に来た時、「えー」と思い、彼女がベッドに血糊がつくのもいとわず服を脱ぎ捨てていくのをみて「うそー」と思ったが、頭をかかえうずくまる主人公に思わず感情移入してしまった。うーん、ためらいがないのがこの映画の強さである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] Myurakz[*]

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