[コメント] ストレイト・ストーリー(1999/米=仏=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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老人が過去に仲違いをしそれ以来10年ほど口もきいていない兄が倒れたと聞き、自転車より遅いトラクターで、はるばる隣の州にいる兄のもとまで会いに行く。
その間家出してきたという妊婦の女性(少女)や、自転車レースの人たち、トラクターが壊れたところにちょうど出あい、その修理を斡旋し、裏庭に泊まらせてくれた人、その町で知り合った老人、などとの交流を経て、一ヶ月以上かけて兄のもとに辿りつく。
旅先での人との交流がわりとあっさり書かれているように思えた。そしてそれがおそらくちょっと違ったらくどくなるような老人の説教話をなんとか薄めているんだと思う。
例えば家出してきたという妊婦の女性に対して一本だと折れるが3本だと折れない(これが家族というものだ)みたいな話や、
自転車の若者に「年取っていやなことは若い頃を覚えていることだよ」という話や
仲悪い双子への「兄弟は兄弟だから兄弟だ(?)」という話など、
わりと人生話が多いように思えたけど、そのシーンごとが(或いはその中の話が)短くあっさりしているので、なんとか聞けるようになるのだと思う。
でもそれは作り手の側だけでなく、この老人の特徴をまた表しているのかもしれない。人生話もそれを聞いてもらいたいからしゃべるのではなく、あくまで相手の様子を伺ってしゃべっているように思えるし、腰が悪いのにけして手を貸してもらおうとせず自分で立とうとし(それを見ている人があわてて手を貸そうとする)、トラクターの修理の時もぼったくられそうなところをきちんとあしらい、といった、なるべく人に頼ろうとせずに自分の力で生きていこうとするような姿勢が単純にカッコいいなと思った。
あとは景色。田園風景と一直線に広がる道路がとても素晴らしい。
そして出てくる人たちもみんな優しいし、作り手の側もまた優しさに溢れているように思えた。そして田園風景もまたそうかもしれない。全てが優しい(そしてそれは同時に厳しさをも含んだものかもしれない。)
でもとにかくあの星空が忘れられない。旅行先で出会う人、空、なんでああも印象的なんだろう。旅行したくなった。
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