オリジナルの映画作品としては珍しく脚本に参加していない。にも関わらず、「（いわゆる）リンチ的なるもの」も随所に散りばめ、ちゃんと「俺ワールド」の風合いも匂わせてくれる。

足腰の弱った老人に肥満女性、軽い障碍を持つ娘。ソーセージに喰らいつく若い妊婦、片方が顔面に傷を持つ双子の修理工。自転車の集団にまぎれる曲乗りをする男、週一で鹿を轢くと嘆いてはキレる女。と、喰われちまった鹿。鮮やかな屋根の巣箱、木製の魚、特別なクッキー、燃える納屋、墓地。そして、住民同士がやけに密な関係にある小さな町。

この監督はアルヴィンじーさんに負けず劣らずのかなりのガンコ者なんじゃないか、自分の意志を曲げずに初志貫徹するタイプの、ずいぶんストレイトな人なんじゃないか、と思えば思うほど、愛しさも増したりして。