[コメント] バレット・バレエ(1999/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「スタイル・トゥ・キル」鈴木清順の映画のキャッチコピーで使われた言葉だ。殺しのスタイル。「美しい様式美的な殺し」、「美しい映画的な殺しの演出」と言う意味だろう。
この映画でこのコピーが浮かんだ場所は井川比佐志の凄まじいガンアクションのシーンだ。殺し屋かヤクザの井川比佐志が主人公に後から撃たれてしゃがみ込むがそのまま後を振り向かずピストルを後ろに向け冷静に正確に撃つ。それが凄い!その動き、冷静さ、まさに「スタイル・トゥ・キル」。ジョン・ウーも清順もタランティーノもびっくりだ!こんなスタイリッシュな「殺ろし」をこの監督は今まで我々に見せた事がない。黒澤明の「乱」の首をはね鮮血が飛び出るシーンとこのガンアクションは井川比佐志の最高のアクションだ。
井川比佐志のシーンで「スタイル・トゥ・キル」と思ったがそれはいい意味の「スタイル」=「美学」。
映画全体はあまりいいものではなかった。
「スタイル」だけの映画。「表面的な中身のない映画」。
モノクロ、動くカメラ、携帯電話の違う場所での繋がり、お互いの手の噛んだ傷、 銃、鉄への偏愛、雨、水、高速下、薬、ラストの定番の走り。
全てが「スタイル」。この監督は上手くなっている。しかしそれは中身のないスタイルという表面的なものだけ。特にラストシーンはいろんな映画のオマージュだろうが寒気がする。
二つの「スタイル」の映画。
「美学」と「表面的」
前者の「美学」こそ「スタイル」だ。
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