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[コメント] 河内山宗俊(1936/日)

軽妙洒脱なダークヒーロー
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







頑張って小銭を貯めて身請けしようとした花魁が身投げして、挙げ句そこで生き残った若造(弟君)に殺されてしまう親分が可哀想だと思った。というかこの話、結局悪いのは全部弟君なわけで、だったらまずお前が死ねやと思いつつも、彼が生きていることだけがお浪(原節子)の願いだという一点のみで物語は上昇していく。倫理的には腑に落ちないが、感情的には納得でき過ぎて困る。

このような理不尽さを抱えながらも一貫してお浪を守ろうとするというその真っ直ぐさ、それこそが宗俊(河原崎長十郎)と金子(中村翫右衛門)に感じる熱さの源なんだろう。汚濁に住まう者たちが己を更に汚してまで清き者を近づけまいとする直情さと、それとは裏腹に終始飛び交い続ける軽口、そのギャップがこの二人の色気となって画面に立ち上っている。

それだけに後半「これからどうなっちゃうんだ!」と興奮しながら観ていたんだが、まさか姉弟以外みんな死んだところでバッサリ終わるとは思わなんだ。正直、事象的にはやり過ぎで表現的には拍子抜けだと思う。現代の過剰な感情描写に慣れ過ぎるのも良くない気がするけど、もうちょっと余韻を残してもらえると助かる。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペペロンチーノ[*] けにろん[*]

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