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[コメント] 河内山宗俊(1936/日)

これが映画の面白さかと存分に堪能できる、すべてを兼ね備えた名作。「強きを笑い、弱きのためにがんばる(結果はどうあれ)」というわかりやすい演出で、チャップリンにも比肩し得る、そのずば抜けた山中貞雄の才能がなんとも惜しい。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1936年製作だから70年前の映画なのだが、70年前とは思えない、フィルムや音響の劣化を除けば、脚本といい役者の撮り方といい、コマ割といい、見せ方といい、そのすべてが現代の映画としても立派に通用する、いやそれどころか現代においても第一級の良質な映画となっていることに驚愕する。

特に、小柄の競りにかかわるシーンからそれを重役に高値で売りつけるシーンの巧さなどは、思わず吹き出してしまうほどだった。

もともとは講談の「天保六花撰」が原作だがそれを巧みにアレンジし、独自の物語にした手腕も見事。

山中貞雄がわずか29歳にして戦地で病死することがなく、生きながらえてメガホンをとっていたら、いったい日本映画はどうなっていただろうかと思わずにはいられない。

また、随所できっちりと見得を切ってみせる河原崎長十郎のカッコよさといったらどうだ。大名屋敷に乗り込んで、小柄の紛失云々を咎めながら山吹の茶を求める堂々たる強請りの様にはしびれるほどであった。所作所作で貫禄を見せる、さすがに年季の入った歌舞伎役者は一味も二味も違うなと感心させられた。

ついでに言えば、やくざの親分のところで堂々と無駄飯を食っている黒猫にも爆笑させてもらった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Myurakz[*] ゑぎ[*]

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