[コメント] 大列車強盗(1903/米)
映画の幕の引き方に興行師的な発想の横暴さが見えるも歴史的な価値十分なSO-SOサイレント
車上で車掌を散々に殴りつけた後車外に放り投げちゃったというヴァイオレンス描写。フリーズの列から我先にと逃げ出す男を背後から射殺するというヴァイオレンス描写。観客に向かって拳銃をぶっ放すというヴァイオレンス描写。ヴァイオレンスに次ぐヴァイオレンスでそのチープさが笑えるというそれだけでも魅力をもった記念碑作品である。ただし、ラストショットの登場人物が観客に向かって拳銃をぶっ放す場面は、あまりに露骨なカットで興行師のアトラクション的発想の横暴さが満面であり、カットのつながりを欠いてまで映画の質的完成よりも観客のダイレクトな感情を操作することでその映画を存在せしめようという作為には簡単にうなづけない向きもある。だが、この映画をコメディの範疇としてスラップスティックな要素を垣間見ることができるという点で積極的に悪くなく、何より映画史に脈々と受け継がれる源流ともいえる作品としてはその存在に大きな意義がある。と思ったところでいやまてよ、ラストのあれはもしや現実と虚構の境目に一石を投じるメタフィジカルな表現だったのかもしれない。ふとそんなミステリアス。
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