[コメント] 周遊する蒸気船(1935/米)
ニュー・モーゼことバートン・チャーチルのいかがわしさ。ステッピン・フェチットの登場の仕方の意外性。グラント将軍をリー将軍にしてしまうという蝋人形の扱いのいいかげんさ。大いに笑いつつも、私はウィル・ロジャースがアン・シャーリーに服を渡すシーンで泣けてしょうがない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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たとえば、この映画の蒸気船から『キートンの蒸気船』(1928)を、またその蒸気船が自壊しながら疾走するさまから『マルクスの二挺拳銃』(1940)を、制作年の前後関係を無視して想起してしまうというのは後世の映画ファンとしては致し方ないことであり、また与えられた特権でさえあると思うが、何もそのような具体的な共通項があるばかりでなく、この『周遊する蒸気船』には以上に挙げたようなコメディの天才による傑作群に決して引けをとらない過剰な喜劇的エネルギーがある。私が最も笑ったのは、ロジャースが先行する船にロープを結わうシーンで映る「パドル(外輪)」と、ポカホンタスをボイラーに放り込んだときに吹き出る「炎」の、そのダイナミズム。
ああ、そうだ。ロジャースとシャーリーがニコニコと裁判所に向かうショットに続くのがすでに判決が下った後のショット、というのもたまげると同時に涙が出ました。最後のラスト・ミニッツ・レスキューも完璧でしょう。
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