[コメント] リプリー(1999/米)
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オリジナルで暗に仄めかされている同性愛的傾向を前面に打ち出したリメイク。
このリメイクのキー・ワードは「行き当たりばったり」
リプリーが殺人を犯す原因から行き当たりばったりで、ディッキーに愛を拒絶されたからであり、彼に成り代わろうとしたその理由も、富を得よう、恋人を奪おうと言う類のものではなく、あくまで愛する人になりたいという自己中心的な愛を貫いた結果として映り、結局、行き当たりばったりで計画性に乏しい。
話を複雑にしてリプリーの正体がばれるかどうかのスリルを付け加えても、作った側に特に煮詰まった考えがあると思えないので、行き当たりばったりの印象は拭えず、結局そのスリルは尻切れトンボに終わり、観客の期待を裏切る。
ラストで唐突に劣等感を話しだすリプリー、それもとりあえず映画を終わらせるためにとりあえず付け加えた感じで、最後まで行き当たりばったりの印象は拭えなかった。
ただし男優陣は健闘している。ジュード・ロウの持って生まれた天性の輝き、マット・デイモンの意外と奥深い演技。それに引き換え女優陣は影が薄い。特にグウィネス・パルトロウは『ダイヤルM』に引き続いてのリメイク出演だが、もう一人のチョイ出の女優さん(ケイト・ブランシェット)と見分けが付かないくらい影が薄い。
それにリメイクを、オリジナルとは別物として評価するべきだと言う意見には賛成だが、その上で両者の出来を比較してしまうのは致し方ないこと。つまりオリジナルの『太陽がいっぱい』とは独立させた評価がこれ。それを受け入れる覚悟がないんならリメイクなんて作るべきじゃないでち。
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