[コメント] 太陽はひとりぼっち(1962/伊)
だだっ広い見通しの良いロケーション、例えば広場や原っぱ、飛行場といった舞台設定が、そこに配置された登場人物の孤独感を増長すると云えるのだろうが、いやもっと単純に、このような画面のスペクタクルがアントニオーニの好みだったのだろう。
スペクタクル、ということで云えば、本作の証券取引所のシーン、とりわけ、中盤の株の暴落の場面は、オーソン・ウェルズと見まがうばかりの恐るべき、暴力的といっても良いぐらいのスペクタキュラーなモブシーンだ。他にも、モニカ・ヴィッティの家の向かいの、女友達が住んでいるビルの上階の見せ方だとか、アラン・ドロンの事務所や居所の窓をからめた演出だとか、屋内シーンも見どころ満載だ。
ドロンが道を渡りながら「向こう側でキスをする」と云う交差点も、がらんとした、ひと気のない風景だ。こゝがラストで虚無的に挿入される帰結は少々あざとい感覚も受けるのだが、これだって写真的な美しさ、ということでは極めて美しい。ミケランジェロ・アントニオーニらしさという意味で、とても満足感のある帰結になっている。
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