[コメント] 天井桟敷の人々(1945/仏)
出来ないフランス語が出来るんじゃないかと錯覚してしまったほど、観て/聴いているそばから頭の中で彼らの口から話される言葉がぐるぐる回っていた。出来ることなら全てのセリフをそのまま丸ごと覚えてしまいかった。
この映画を観てころっとフランス映画狂いになってしまった山田宏一氏、人生間違ってなかったと思います。私だって見るときに見てたら、まっしぐらにフランス語を勉強して、出来るだけはやいうちにパリへ飛んでいっていたと思う。でも、そうはならなかったのは、残念ながらこれを観られたのが二十歳も少し過ぎた頃だったから。だからこれを初めて観たときは、もっとはやく観るべきだったことがすぐにわかって、それはそれは悔しかった。だって、世界一と言われる映画が、まさかこんなにキラキラ輝く人間賛美の映画だなんて、思ってもみなかったんですもん。まったく、ルノワールに負けず劣らず、美しくも愚かで複雑な人間の姿がいっぱいに溢れうごめくこの映画こそ、一つの芸術の姿でなくて何だというのだろう。こればっかりはもう作品そのものが愛おしい。山田宏一氏の強烈な愛情にも納得。そしてその思いから生まれた氏の渾身の字幕にも感謝。
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