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[コメント] 大いなる幻影(1937/仏)

ジャン・ギャバンら新時代の人たちのために笛を吹いたピエール・フレネーは、20世紀版「ハーメルンの笛吹き男」か。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







笛に導かれるままに看守たちがピエール・フレネーを追いかける場面を見てそう感じた。ルノワールの映画は、笛の音がいつも何かのアクションの引き金になる。

ラスト、雪山を歩くマレシャルとローゼンタールのおぼつかない足取りを追った俯瞰ロングショットに、産声をあげはじめた新しい時代への希望を見る。しかし現代の私から見るに、その希望もまた幻影。でもだからこそ、幻影を映す装置としての映画への楽天的な希望も、そこに託せるってもんだ。21世紀、古き良きヨーロッパの格調高さも良いが、もはや私たちは新しい幻影を欲している。映画に。

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[021015] 池袋新文芸坐(『素晴らしき放浪者』と2本立て)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Orpheus たわば ハム[*] G31[*]

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