[コメント] バトル・ロワイアル(2000/日)
たけしが演じた教師役、当初の予定は武田鉄也だったという。それでは意図がわかりやすすぎる。見送って然るべき配役だ。
バトルロワイヤルに登場する生徒たちの世代を代表する価値観といえば、言うまでもなく競争否定教育、そしてそれを血気盛んに説いていたのは働き盛りにさしかかった団塊世代の教師達。全ての世代の人間が狂っているのは当たり前であるが、団塊教師はその中でも特に陽性といえるエネルギッシュなきちがいだ。団塊ほど様々な思想に振り回された世代も少ない。赤に青に左右に金八、どれもが当時のモラル観に強い影響力を放っていたうえに、とどめの一発が特に凄い。自分たちが一番努力した学校の競争を否定しようといった風潮になったのだから狂わないはずがない。その極まった混沌を具象化したものがたけしと宮村優子が演じた登場人物ではないだろうか。あの二人の芝居は若者には決してオーバーな表現に見えないはずだ。映画ではわかりやすくするために二名にわけているが、実際にはあの二人に金八を加えた計三名をザ・フライの転送マシーンに放り込んで合体させたような前衛的教育観を90年代には完成させていた。
ところが狂乱の末に作り上げたお説教を聴いているのが何とも可愛く無い冷めた世代であり「ふーん」といったかんじで聞き流される、これはたまらない。自分達が着てもさっぱり似合わなかったアメリカンファッションが似合う生徒達が憎くなってきて仕方が無い、Fuck you hey sey boy!! いや俺達も捨てたもんじゃない、ちょいワルオヤジってのを真似たら意外と似合うじゃねえか・・・などと思ったかどうかはわからないが、そのような苦悩と投票権をてんこ盛り抱えた世代にマスコミがとびついた。
「少年による殺人事件の件数=1965年 370件 2000年 105件」
自分たちがやらかしたことをさも生徒たちがやったかのようにマスコミが吹聴してくれたのだから中年達は狂気乱舞、自民党の人気はいまだ根強い、ほんとこの世代は左なのか右なんだかまったくわかんない。2011年5月、団塊の友たる自民党は徴兵制度を検討だっていうのだから反戦世代の老人達はまたもや狂気に見舞われるのか、それとも若者いじめのために過去大切に守り続けてきた宝典を捨てるのか、中年間近の中途半端な世代のわたしには予想もつかない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。