[コメント] シェーン(1953/米)
シェーンのアイドル性、人たらしっぷりが凄まじい。農夫とは友情で結ばれ、その妻ともいい雰囲気、子供には憧れられる。そればかりか悪の牧畜王からも誘われ、殺し屋からも一目置かれる。みんなシェーンを好きすぎる。誰のものにもならないんだけど。
シェーンと農夫の殴り合いで馬や牛が動揺し、大騒ぎする場面。馬の脚ナメで2人の格闘をとらえたショットが、翌年公開の『七人の侍』における野武士の砦の火事のシーンにそっくりで驚かされる。農民を助けるガンマンときては、なんだか話も似ている。黒澤明は『シェーン』をどう思っていたのだろうか。
ロケーションが美しく、アカデミー撮影賞をとったのも頷ける。しかし一方で、この映画は真っ昼間に撮影してフィルターをかけて夜にする、いわゆる「アメリカの夜」だらけだ。オレはこれが苦手で、どうがんばっても夜に見えない。驚いたことに、シェーンカムバックのラストシーンまで「アメリカの夜」なんだよな。だから本当は、去りゆくシェーンの後ろ姿なんてガキンチョには全然見えない真っ暗闇の筈なのである。これはムチャクチャもいいところで、とても感動してる場合じゃなかったな。
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