[コメント] カビリアの夜(1957/伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
やわらかな 雨にぬれた たんぽぽ
気づかれずに 踏んづけられても いたずらに 摘みとられても
ほほえみかける 陽だまり色の花。
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その ほほえみは まるでピエロのよう
歌い 踊り おどけたしぐさで
ふあふあの 白い綿毛とともに しあわせの種を はこんでくれる。
:
でも、
僕は知っている。
ピエロのまなじりには 真珠の刺青があることを
なみだの海に 落ちるひとしずく、決して 消えない 刻印。
:
でも、今は、
僕もいっしょに 歌って 踊って 咲いてもいいかな?
長く 冷たい 季節を知って 咲く たんぽぽよ
長く 冷たい 道を知って おどける ピエロよ
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失敬。昔は映画を観ては詩(?)を感想代わりに書いていたことを、maopさんが思い出させてくれたので。ダハハ
僕はサーカスが大好きだ。お祭りも屋台も夜店のおもちゃも大好きだ。こうした《日常》から、ちょっとズレてる世界の陽気さには、どこかしみじみとした哀しみがある。
それは、やっぱり"本当の哀しみ"を知ったときにこそ、"本当の笑顔"が生まれるからなのだと思う。夜がいつかは明けることを知っているからこそ、夜明けに希望を抱くことができるのだと思う。
カビリアは、「自分ガ愛サレル」ことよりも「自分ヲ愛スル」ことを知ったのだと思う。
"ソレデモ"生きていく、"ソレデモ"死んでいない、という喜びではない喜びとともに、朝に向かう夜道をテクテク歩く。そのまなじりには、涙の刺青。
僕にとっては、この『カビリアの夜』こそが、『素晴らしき哉、人生!』。
[日本イタリア京都会館/3.04.02]■[review:3.09.02up]
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意地悪で、反転させて申し訳ないが、ラストの「道」は、冥土への「道」という解釈もありえなくはないなあ・・・。
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