[コメント] カビリアの夜(1957/伊)
救いのない映画。観賞後、シネスケのコメントを見て驚いた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ラストのカビリアの笑顔から、前向きな意味を読み取ったというコメントが多いということに驚いた。カビリアは将来に希望を持って笑ったんじゃない。笑うしかないから笑ったんだ。傷ついた気持ちに絆創膏を貼るためにとりあえず笑うしかなかったんだ。カビリアは間違いなく、かつて恐れた洞穴暮しに近づいた。それも住居を失った今、洞穴は目前に迫っている。明日を迎える場所を失った人間が、「明日からまた頑張ろう」なんて思えるのだろうか?カビリアはもっと現実の見えている人だ。だからこそ生活を変えたいとマリア様に祈った。そんなカビリアが、最後のあの状況で、明日に希望を持てるはずはない。そんなにハッピー馬鹿な人ではない。自分の現実を直視しながら作品の中後盤にかけてもがき続けてきたカビリアの心は、あの状況では笑わない。
フェリーニ作品を観るのは初めてだった。映画を観ていてキャラクターにここまで感情移入してしまったのも、間違いなく初めてだ(もしかしたら、私自身も生活に疲れているのかもしれない…)。冒頭からラストまで、真摯にカビリアを描き続けたフェデリコ・フェリーニという監督の他の作品も、必ず観なければいけない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。