[コメント] トップ・ハット(1935/米)
この時期のアステアの踊りを観ていると、本当に舞踏病にかかっているに違いない、と思う。
少しでもミュージカルが好きな人なら、「アステアとケリー、どっちが好きか」なんて話をした事があると思うが、私の場合どちらかと言うと踊りの質的には端正で快活なジーン・ケリーの方が好きだ。 ケリーのダンスには欠かすことのないレッスン、たゆまない努力といった物がうかがわれて、すごいなあ、とみとれてしまう。
ところがアステアのダンスは、そういうことを少しも感じさせない。 歩くように踊る。足がステップを踏んでしまうのだ。
本当のところ、アステアもきっとものすごい努力をしているに違いない。 でも、そんな事をみじんも観客は思わない。 すごいなあ、とは思わない。素敵だなあ、とウットリするのだ。
歩くように踊る、食事をするように、恋をするように踊る。 アステアのステップは、空をフワフワと漂うような、夢見心地の、まるで恋の気分そのものなのだ。
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