[コメント] 去年マリエンバートで(1961/仏=伊)
もしも警察の尋問を受けて、「昨日は映画を見ていました」と答え、「じゃあ、内容を言ってみろ」と問われても「わかりません!!」としか言えない作品。簡易なフランス語で支離滅裂。反物語という点ではアントニオーニといい勝負。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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哲学的と呼ばれる作品は古今東西多々あるが、真に哲学的と冠せられる作品。どこまでが男の幻想で、現実なのか。 現実だと思っていたのに「この物語は1年前に始まった」とは。過去と現実、ベルグソンが言うように、我々にとってそれは暗黙の了解の内にはないのだろう。 そして、誰の視点でカメラは揺らめくのか。「実は女は死んでいたのだ」と言う観客がいたことをレネは指摘したが、これだけ様様な解釈の余地を与える作品だからこそ「哲学」なのだ。 不全なはずのコミュニケーション、答えはないのにあるように振舞う我々に、強烈なイロニーを与えてくれる映画という意味で、今日でも非常にアバンギャルドだと思う。
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