[コメント] 回路(2001/日)
小説を読み終えた今、思い返してみれば、...
小説を読み終えた今、思い返してみれば、説明不足な点や矛盾点など、不完全な部分もあるのだけれど、それでもやはりこの映画は、私にとって忘れがたく感動的なものだ。
人間は、どんなにたくさんの人に見守られて産まれてくる赤ん坊も、どんなにたくさんの人に看取られて死んでいく老人も、産まれて、生き、死ぬ、というプロセスは、たったひとりで経験する。つまり孤独、ということ。
そして、死。死んだらどうなるのだろう。天国へ行くのか地獄へ行くのか、それとも無になるのか、何かの一部になるのか、それとも、死んでもやはり孤独なのか。
その二つのことに纏わる恐怖と哀しみ。これは、そういうことについての映画だと思う。黒沢清という人が、その二つの、ぽっかりと空いたブラックホールのようなものにとても真摯に向き合った結果を、映画としてカタチにしたものだ。
まるでピンとこない人もいるだろうし、金を払ってそんなものを観るのはいやだと言う人もいるだろう。
でも私は、この映画をすばらしい映画だと思う。とても哀しく、美しく、力強い映画だ。たくさんの人に、観て欲しいと思う。
ここを読んでくれたあなたに。是非、観てください。
『回路』があなたにとってかけがえのない一本になることを祈って。
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