[コメント] 青空娘(1957/日)
しかし徹底して泣かない娘だねェ。あのタフギャルぶりは、「青空娘」の名に恥じない。俺としては涙のひとつも浮かべてほしいシーンもあったりするんだけどね。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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おばあちゃんが「東京にいるのは本当のお母さんじゃない」と言い残すのを聞いた上で上京する文子。当然血のつながらない母とその子供たちは文子をいじめる。パーティーでピンポンの対戦をした社長令息に見初められ、求婚された事実で叱られる。父親と銀ブラし、洋服を買ってもらったのを見咎められる。とうとう家出し、訪ねて来いと言った恩師の家には情婦気取りの女がいて、追い出される…と、これくらい災難が山積したら一回くらい泣いたっておかしくないと思うのだが、文子は泣かない。それどころか、生まれてこのかた逢ったこともない母と対面した時も涙ひとつ見せない。こいつ、本当は泣く演技が出来ないんじゃないかと思わされたくらいだ(まあ、母親の写真を義姉に破かれた時には、さすがに顔色を変えたが)。
とどめに、父親が自分の名を呼びながら病床にふせっていると聞き、そこへ戻ってきた時も、「あんたの妻を愛しなさい。あたしと母は元気でやってゆきます」と説教してしまう。こりゃ参ったね。彼女は正しいとは思うけれど、ここまで日本人好みの情緒を退けるキャラクターも珍しい。増村保造は強い女が好きなんだなあ、きっと。ミヤコ蝶々やキャバレーの肝っ玉マダムも魅力的に描かれていたしね。ここはワタシ負けましたわ、といさぎよくシャッポを脱いでおこう。俺もやっぱりじめじめ泣く女よりは、健気な女性のほうがいいのには変わりはないんだから。
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