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[コメント] サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2001/日)

えっ、彼って中村俊介じゃなかったの?
ざいあす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「スペトラ」よりは面白かった。

開き直ったかのような本広節全開で、音楽はベタベタ流れっぱなし、映像もクルクル回ったりクィックスローになったりヤル気マンマン。前半はそれがうまく作用してテンポ良く笑わせてくれたが、後半シリアスモードでかみ合わなくなって興ざめとなってしまった。

親子(祖母だが)の情愛を描くなら、幼少時代をもっと見せてくれないと感情移入できない。ていうか、そんな暑苦しい人間ドラマが狙いではないハズなのに、クライマックスの安藤クンの嗚咽シーンではかなりしつこく泣かせを強要してくるし。

監視部隊のリーダー格が急ブレーキ踏んじゃうのも唐突。後で言い訳っぽく親子の急病オンブシーンで彼の絡みを入れていたが、それに加えてもうワンステップ、鈴木京香と安藤クンに彼が共感するエピソードを挟んでくれないと。

てなことは他の方々も既に指摘の部分だが、他にも、末期ガンの治療と死に至る局面を美化してしまっているのが気になる。 個人的な話だが、末期ガンの多くは死を先延ばしにするだけの薬物投与治療。実際に、ミイラのように痩せ衰えても激痛に耐えさせられて、最後は家族に別れを告げる力が無くなっても生命維持装置でさらに朦朧と生死の境を彷徨うことを余儀なくさせられた叔父を目の当たりにしているだけに、桜の下で孫の背中で安らかに往生なんて、あまりにきれいごと過ぎる。

「サトラレ」という、コミュニケーション不全の問題にしても、実際はかなり重いテーマだし、本広監督のケレン味たっぷりな演出には合わないようにも思う。(1号の松重さんは無人島にほったらかしにされて、最期にやっとメールでフォローされる始末だし・・。)

それにしても八千草薫さんの浮世離れした年齢不詳なキャラはすごい。子供をおぶって走り出してもまったく生活感が無い。末期ガンにも全く見えない。これが山田洋次とか今村昌平とかなら絶対ありえないキャスティングだ。(菅井きんとか坂本スミ子、樹木希林あたりか?)

それから鈴木京香。前半は面白おかしく絡んでいたものの、後半つまはじきで見せ場なし。色気サービスはうれいしいが、これでは本人も手応え薄かったでしょう。

そして、なにげにフツーな青年の安藤クン。IQの高さは微塵も感じさせずじまい。てゆーか、いまだに中村俊介との見分けがつかないぞ!

(評価:★3)

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