[コメント] 現金に体を張れ(1956/米)
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短い時間の中で無駄の無い演出。キャラクター。伏線の張り具合。キューブリックの後期作品と比べても完成度がえらく高いのは間違いないとして、一番わかりやすくユーモアを出してるのはこれだ。これだったら声を上げて笑ってもいいでしょ?
酒場で暴れる役の男。右から左から押さえにかかる警察官を振り払うとシャツがびりびりーーーっっ。コントかと思った。しかもこのシーン、手持ちカメラで長々と撮ってる。普通に「じゃあ適当に暴れて〜」などと言って撮ったかのごとく、なんだかいきなり緊張感がなくなっていてウケる。そういえば『ファンタスティック・フォー』にこんな人がいたな。たぶん彼ならノーメイクでできる。
悪妻の尻に引かれるヘタレな旦那。盗んだ金をめぐって仲間に緊張が走り、そこへ悪妻の間男が銃を持って乗り込んでくる。一触即発。なにが起こるかと思ったら、ヘタレ旦那が全員撃ち殺す。しかも偶然。どんだけ命中率いいんだ。自分も死にかけでどこ行くのかと思ったらやっぱり奥さんのところ。旦那のあまりのしつこさに「もうどうでもいいわ」って自暴自棄になってる奥さん。(そして殺される)
馬を撃ったら即効自分も殺されるスナイパーが、ありがた迷惑なガードマンにいらいらするところとか、主犯の男がスーツケースを預かる預からないでカウンターともめるところとか、ちょいちょい入る邪魔も細かくて、その上緊張感があって面白い。お金に必死になる人間の滑稽さが、あのイジワルイ目線で痛快に描かれている。それはラストの吹き飛ばされる札束に集約されて。「もっと吹かせろ!全部飛ばすんだ!!」(08/03 CATV)
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