先に言っておきたい。僕にとっては、ジョン・レノンほど音楽的に影響を与えてくれた人はいない。ビートルズ時代はもちろんだが、最も影響を受けたのはソロになってからの方だ。それは一生かわるものではない。

さて、この映画。アルバム「イマジン｣のイメージビデオが昔存在してたはずだが、その再編集版とみていいんだろうか。個人的にはかつてのビデオの方が好きだ。というのも、あちらの方がジョン・レノンらしいから（いい所も悪い所も）なのだが、この映画の方は、どうも彼を善人のように書きすぎている。本人が見たらＮＧ出すぞ、きっと。小野ヨーコの視点から見てるから（というか、生きている我々の視点からと言った方がいいか？）、といえばそれまでなのだが、彼女がいかにジョン・レノンを想っていたかはとりあえず置いといて、純粋にジョン・レノンのお宝ムービーを延々と流しててくれよ！という思いでいっぱいだ。とにかく、さいたまのジョン・レノン・ミュージアムでもそうだが、「ジョン・レノンを沢山の人に伝えたい。残したい。」んであれば、その音楽で語ってくれ。小野ヨーコの哀しみはジョン・レノンにはなんら関連しない。むしろプライベートな部分は小野ヨーコの心の中にずっとしまっていてくれてた方がジョン・レノンも喜んだと思う。こんなムービーを出された日には、どんな犯罪者でも関口宏が出てきて加山雄三が「いい人でしたねぇ」とかいいそうで嫌だ。死んでから製作されたジョン・レノン作品には全てそんな匂いがある。悲しい。