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[コメント] 皇帝のいない八月(1978/日)

平和の醜さと戦うことの美しさ。並列して描くためには、どれだけの知性の高さが必要なのかと思うと、感心せざるを得ない。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ラスト、特急列車を爆破した後のシーンに、銀座か原宿かわからないけど、平和の象徴である歩行者天国が映される。これがまた見事すぎるくらいに醜いんだよ。雑然として腐乱した平和を象徴してるわけ。思わず笑ってしまった。しかしこの安寧さと言ったらないんだよね。いい悪いではなくて、少なくともこれが現実だってことだよな。

 同じ70年代の『日本沈没』(1973)、『野生の証明』(1978)、さらには『新幹線大爆破』(1975)なんかと比べても、はるかにアクチュアルで綿密で、かつ一方的な主義主張への肩入れがない。俺は人質は絶対殺しちゃいけないって教育されてきたんだと主張する自衛官の存在なんざ、絶妙だよね。山本薩夫って凄い人だ。

 岡田嘉子さん(移動中の寅さんと同部屋のお婆さん)もいい仕事してたなァ。

80/100(08/08/30見)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 水那岐[*]

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