[コメント] 天使のくれた時間(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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字幕では「あなたを選ぶわ」と、シティに引っ越しするジャックに向かって言っていたが、「私たち(いつも)二人(の人生)を選ぶわ」という意味合いなんだと思う。その台詞だけ胸に突き刺さった。
物語自体は誰かも書いていたが特に目新しさのないifモノだが、本作品に関しては幾つかの「仕掛け」が見て取れる。
一つは「もはやバツイチは当たり前」のハリウッド映画で昨今では珍しい「おしどり夫婦」という設定を持ってきたところ。本来理想とすべきはそちらの世界なんだが、観客、特にアメリカン・ハイソサエティ人種はジャックの目でものを見る。そういう仕組みになっている。「おしどり夫婦ってどういうものなの? そんなのありうるの?」てなカンジ。
で、一見リッチマンやサクセスピーポーへのおすすめ映画にも見えるのだが、実際多くの観客はもう一つの世界の住人に近く、日常それを嘆きつつ映画に現実逃避を求めている。そう製作側は判断していると思われる。それでこの作品を見せて「こういう“普通の”生活の中にどれだけの幸せが存在するか見直して御覧」ということが伝えたかったのではないだろうか。
ティア・レオーネが他出演作をも凌駕するような魅力的な演技を見せ、ニコラス・ケイジは相変わらず黙っていても濃い味を見せているせいか、さりげない仕掛けをしようと思ったところが、余計なところが目立ってしまい、特に日本の観客層には“異世界然”として見える仕組みになっているように思われる。残念。
ドン・チードルは、日本の配給元などは「天使」と解釈したのだろうが、あれは単なるトリガーとだけ認識していれば十分な存在。あれが天使かサンタか一体何だったんだ、というところに捕われてしまうと、本作品の本質にはいつまで経っても辿り着けない。
原題はどこまで意識しているのか憶測に過ぎないか、カンパニー・ファミリーという意味合いと、いわゆる家族という意味の二重の意味を持たせて、最後には「今度こそは本気でファミリーを持とうと自覚する(責任感を持つ)」というところに引っ掛けているのでは、と解釈するのは行き過ぎか。
微妙な話だけに、荒唐無稽な要素を入れて間口を広くしようとしているように見えるが、なかなか難しいところがあるようで。
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