[コメント] JSA(2000/韓国)
「戦争の話は止めよう」「こんなことをしていたら皆、死んでしまう」 現況を憤り体制を批判するに描くべきは、絶望でも断絶でもない、至極純粋でささやかな理想なのだ、ということを我々に教授するパク・サンヨンのプロットが秀逸。チャヌクの、米大作を意識した映像、音楽の使い方などは正直好みではないが、より多くの人の心を掴む為に敢えてそれを選択した、ということは明白であり、私は異論を挟む気にならない。
この悲痛な映画を観て、修学旅行の夜などを思い出してしまう私は、確かに平和ボケしたエセ平和論者なのかも知れない。しかし、彼らにとっては、そこが、あの国境線上の見張り小屋こそが、掛替えの無い青春の舞台であったのだ。彼らは私たちと同じ、ごく平均的な若者であり、云うまでもなく同じ人間−。 それこそが、作者が何よりも先に伝えたかったことではないだろうか。
戦争は、当事者ばかりでなく、部外者の理性すら狂わせる。その存在自体が、新たな火種となり拡散してゆくのだ。そうだ、もう、止めにしよう、戦争の話は。(それは勿論、無関心を決め込め、ということでは断じてない。)
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