突然のお便りで驚かれたかと思います。

その後、お変わりありませんか。お元気ですか。

引越しの荷造りのために古いビデオテープを整理しておりましたところ、

あなたの代表作である「恋しくて」が押入れの奥から、

出てきました。

無性に懐かしさがこみ上げ、思わずテープを再生してみたのが間違いでした。

あの、恥ずかしい青春の日々が、まるで昨日のように甦ってきたではありませんか。

雑誌から切り抜いたあなたの写真を、部室のロッカーの扉の裏に貼り付け、

あなたを知らない周りの友達に「好きな女優なんだ」と自慢気に言いふらしていたっけ。

練習がきつかった日も、

スタメンを外された日も、

受験のことで親と大喧嘩した日も、

文化祭の演劇が成功して嬉しくて泣いた日も、

童貞を捨てた日も、

その彼女と別れた日も、

思えば、あなたの微笑みを毎日１回は見ていた。

みんなどうしてるだろう。

そんな風に感傷に耽ってばかりもいられません。

部屋は一向に片付かないまま夜も更けてきました。

末筆ながらあなたのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

ご多忙のご様子、お体くれぐれもご自愛ください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具