見てて、どうしても素直に楽しめなかった。 生理的に受け付けないって感じで。 「あの子」に拒否反応。

何がそんなに気持ち悪かったのか考えた。

「自分はユニーク、自分は特別でただ一人の存在」　 これはくせものだと思う。 こう思うことは別に悪い事じゃない。 でも、だからってなにしたって許されるわけじゃないのに。 彼がゆってると自己正当化のための言い訳にしか聞こえない。

それから、現実を認めようとしないところ。 母親に捨てられたって現実を無視して、自分に都合のいい妄想にしがみついて、暴走する。 自分勝手で、自己中心的な生き方。

母親への偏執的な愛情もだ。 他に誰も見えてない。 他の誰も、彼の心には入ってこない。 狂ってるようにしかみえない。

そうゆう風に作られたロボットだってことはわかってるんだけど。 でも、納得いかない。 気持ち悪い。

なんでこんな欠点だらけのロボット作ったの？ ロボット制作側のあきらかなミスだ、これは。 母親にしか愛情を持たないなんて。 これじゃ母親以外の他者とは関係を築けないじゃない。 世界で初めて愛情をインプットしたロボット、確かにすごいロボットだと思う。 でも、母親のエゴを満足させるためだけに、愛されたいというエゴを満たすためだけにその機能を使うなんて。

可哀想なデイビッド。 もとからそんな不完全な愛しかインプットされてなかったんだから、しょうがないんだ、あんなでも。

それにしても、こんな重大な欠点があるのに、それを無視して「ママを愛してる」「人間になりたい」ってとこにだけ焦点を当てて話を進めるなんて。 これじゃ、気持ち悪いはずだ。 だいたい、こんな欠陥があったんじゃ、いくら彼が望んだって人間になれるわけない。 （まぁ、実際問題としても機械を人間にするのはムリなんだけど、それはおいといて。） なのに、これには触れず、ピノキオの物語に、ファンタジーにすり替えた。 彼の純粋の母親を愛する気持ちのみに焦点を当てて。 そんなのおかしい。 筋が通ってない。 うまくいえないんだけど。 ピノキオと彼じゃ根本的に違うのに。 同じように扱うべきじゃない。

言いたいことが、うまく表現できなくてくやしいけど。 この映画はなんか間違ってる気がしてしょうがない。

追記

この映画のテーマ、「母親への純粋な愛」。その「愛」に納得いかないんだわ。うちには彼がみせる愛情は「純粋な愛」じゃなくて「ストーカー的執着」に見える。他のものには目もくれず、ただ対象にのみ異常とも思える愛情を注ぎ、執着する。まさにストーカー！

それから、彼が母親のことを愛しているようには見えないから、ってのもある。確かに彼は「愛してる」って何度もいってた。でも。でもでも。行動見ててもどうしてもそうは思えなくってさ〜。だって、気持ち悪いんだもん。ロボットだからしょうがないのかもしんないけど。

それにしても。デイビッド製作者、本当に問題有りだと思う。愛をインプットしたのはいいけど「愛情表現」は？ちゃんとインプットしたげたの？どうせ身代わりの子供ロボットつくるんなら、もっと子供らしく、生き生きとしてかわいらしい子にしたらいいのに。あの子じゃ、ねちょっとした感じでちょっと怖いの。