[コメント] 妻は告白する(1961/日)
云うまでもなく傑作。退屈になりがちなフラッシュバックを小沢栄太郎の怪演で支える前半。後半は若尾文子の「本性」で一気に勝負をかける。鬼気迫るフィルム・ノワール。というか若尾のオフィス襲来シーンに至ってはほとんど怪談。若尾演技の圧倒的な説得力と照明術がそれを正当化する。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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後景や端役など画面上の隅々にまで配慮が行き届いている。川口浩は「世間」など知るもんかと若尾との結婚を決意し、若尾の本性が明らかになったのち彼女を遠ざけようとすると「世間」が気になるのねと指弾される。世間の「目」、その抽象的な何ものかは、しかしここで増村によって「裁判の傍聴人/川口のオフィスの同僚の視線」という具体的な形を与えられている。視線演出こそが「映画」の鍵だ。だって見てごらんよ、あの若尾の目つきを!
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