[コメント] ひまわり(1970/伊)
何でもないシーンが好き。
冒頭の回想シーン。勢いのままに浜辺で抱き合う若い2人。すると彼(マストロヤンニ)が突然むせる。どうやら彼女(ローレン)のピアスを飲み込んでしまったらしい。「胸が焼けるようだ」と彼は水を探す。彼女曰く「あそこ(海)にいっぱいあるわ」。そこで彼は海水を飲むが「塩からい」と吐き出す。心配する彼女。が、そのまま船の間に倒れ込む2人。どうやら本格的に愛し合う予感。すると彼女がさり気なくもう一方のピアスを外す … といったシーン。
あるいは自分の爺さまに挑戦と新婚初夜に24個の卵を使ったオムレツを食べるシーンの、あの切り返しの妙。帰らぬ夫を1人待つ家に義母が訪ねてきた際に洗濯物を投げ捨て、あげく掃除用具を窓から放り出すシーン。マネキンのお尻をやたら丁寧に磨き上げる彼女等々、何気ないシーンが印象に残る。
もちろん、ロシアでの列車のシーンは絶品なのだが、決してそこばかりでなく、こういった何気ないシーンが印象に残る作品だからこそ世界中で長年愛され続ける作品と成り得たのではないかと思う。
ただ、彼女がイタリアに戻ってからの冗長な展開と、その良さを生かそうとし過ぎた大袈裟な音楽使いだけは残念。そのせいかクライマックスの尻すぼみ感は否めない。
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