[コメント] 探偵物語(1983/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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公開後20年以上経て再鑑賞。今見ると意外と面白く、2点から3点にアップ。 鎌田敏夫脚本だったのね。そりゃ、空港だわ。鎌田敏夫と言えば空港、空港と言えば鎌田敏夫というのは定説ですから。
私は薬師丸ひろ子ファンであった。『セーラー服と機関銃』で人気のピークを迎えた“角川アイドル第1号”に、世間の皆様と同じくこの私も熱狂していたのです。今にして思えば何故だろう? ところがビックリすることに、世間が「薬師丸ひろ子映画」と認める“角川アイドル時代”の映画は『野性の証明』から『Wの悲劇』まで11本しかない。2005年11月現在、シネスケに登録されている薬師丸ひろ子映画は25本。その内私が鑑賞しているのが16本。どういうこった。なんか多くねえ?『野蛮人のように』から『きらきらひかる』までの“角川後の主役級時代”は『レディ!レディ』くらいしか観ていないが(<そんなの観てんのかよ。しかも劇場鑑賞だぜ)、結婚・離婚を経て約10年のブランク後(途中『マグニチュード』って映画もあるが)スクリーンに復帰した『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』以降の“大物脇役時代”は何故かほとんど観ている。『レイクサイドマーダーケース』も『鉄人28号』も『オペレッタ狸御殿』も劇場で観ている。何だ俺?自分でもビックリだ。そういや「ミセス・シンデレラ」ってテレビドラマも観てたな。
えーっと、そういうわけで、薬師丸ひろ子のキャリアは、誰もが知る“角川アイドル時代”、見事にシネスケのコメント数も少ない“角川後主役級時代”、『木更津キャッツアイ』や『オペレッタ狸御殿』に代表される「薬師丸ひろ子が薬師丸ひろ子として機能する」“大物脇役時代”に現在の所分類されるわけです。 本作は、“角川アイドル時代”「大学受験のための1年間休養」開けの復帰第一弾映画で、『セーラー服〜』で沸点に達した人気がグラグラと沸き立ったファン待望の一作、正に薬師丸ひろ子ブーム真っ最中の作品だったわけです。
それがこれかよ、と。こんないかにも赤川次郎のお手軽映画かよ、と。
そういうわけで長らく2点映画だったわけですが、実は女性心理が巧みに描かれている「女性映画」なのではないかと気付いたのです。 薬師丸ひろ子に過剰な期待を寄せるでもなく、松田優作に何かを期待するでもなく、しょーもないミステリーもどうでもよく、そういった邪念を取り払うと、薬師丸ひろ子の一挙手一投足が「女性」なのです。
それまでの薬師丸ひろ子は“記号”でした。少女という“記号”。女子高生という“記号”。それは、「どう?女子高生が機関銃撃ったら面白いでしょ?」という、ストーリーを面白くするためだけの存在に過ぎず、個の人間として描写されたものではありません。いや、ある意味アイドル映画としては正しいキャラクターなのかもしれませんが。 確かに、この映画もまた「金持ち女子大生」といういかにも赤川次郎な“記号”に他なりません。しかし、監督・根岸吉太郎の手腕なのか、脚本・鎌田敏夫の手腕なのか、いや正直二人ともあまり好きでない、むしろ嫌いな部類に入る作家達なのですが、単なる「記号の集合体」である企画映画に、彼らなりの意義を見出そうとする意気込みが感じられるのです。
「若さとは後悔しないこと」みたいな説教や、森田芳光の『メインテーマ』のような薬師丸人気を逆手にとった作家の自己満足ではなく、この映画は純粋に「一人の女性が恋をする」その一点に焦点を絞っている。 一見ただのアイドル企画映画に見えるこの映画は、いや、一見も何もただのアイドル企画映画なのですが、実は、あんまりただじゃないアイドル企画映画だったのです。なんだ、その程度かよ。
ところで、旬でも何でもないこんな映画を何故俺はこんな熱く語っておるのだ?
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